クイズオボモイェラ

朝、テレビをつけながら、出勤の支度をする。
たまたま今日は6チャンネルだった。そうだ、あのみのもんたの番組だ。
朝からあの声を聞くだけで胸焼けしそうだが、俺はそのままにしておいた。
みのもんたに労力を使うのが嫌だったからだ。

人には「労力を割きたくないランキング」というのが必ず存在する。
その日その日によって順位の変動はあるが、みのもんたは間違いなく上位に食い込んでくる。
他に常連はコートニー・ラヴ亀井静香、おすぎ(ピーコでも可)、ジョージ・ブッシュ、勝氏などが名を連ねる。
こいつらに対しては指一本どころか鼻毛一本すら動かしたくない。
これは殺意とは違う。あの薄汚れた顔に包丁をつきたてる労力すら厭う。
みのはそういう存在だ。

そもそもなんであんなに焼けている。
あの黒さがさわやかな朝にビター・スウィート・シンフォニーを奏でてくれるというのか。
喋り方もひどい。あのねちっこい喋り方を朝から聞くのは、朝食時にビーフストロガノフの風呂に入るようなもんだ。
あれは、昼時に暇な奥様が聞いて、股を濡らしていればいい類のものでしかない。

だが、一番最悪なのはあの態度だ。
さかしげに頷き、社会のくそ規範からはみ出たものをしたり顔で嘲笑し、道徳を踏みにじったものを顔をしかめて罵倒する。
なぜああなんだ。
俺はその役割そのものを責めているんじゃない。
望むべき(誰か権力をもっているやつが)世界の鏡という役割を担わされていることはよくわかる。
しかし、みのはなぜ何の後ろめたさもためらいもなくその役割を全うできるのか。
あれは地獄だ。自分が日本中から侮蔑の視線を受けていることを感じなければならない。
あんな仕事をするくらいなら死んだほうがはるかに楽だろう。
なのにどうして。
どうして、あの男はむしろ喜びをもって仕事をしているのだろう。
殉教者のような熱烈な使命感であいつはブラウン管で演じつづけている。
頭が悪いのか?それともあいつは偉大な演技者なのか?
どっちにしろ、俺には理解できない。ゆえに、気持ち悪い。


ここまで長く書いてきて気づいた。
みのもんたについて指一本どころか十本の指を駆使して、言葉の限りを尽くしてしまったことを。
みのもんた、「労力を割きたくないランキング」降格。「朝に見ると人に我を失わせるランキング」で急浮上。