古池や かわず飛び込む イズマイロフ

みなさん、俳句は好きだろうか?


唐突に思えるかもしれないが、私にとっては当然だ。
春といえば俳句、俳句といえば春。
世の中に 絶えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし
と言う歌もあるのではないか(これは短歌です)


まあ、ほんとは、あのお茶のペットボトルのラベルに書いてある俳句が気になるのです。
どうもあれは伊藤園俳句大賞で募集しているみたいですね。
HPを見てみると(http://www.itoen.co.jp/new-haiku/)、ものすごい応募数です。
それもそのはず、賞金は最高で50万円ももらえます。そりゃ、応募するわ。
しかも、なぜか審査員にはいとうせいこう。手広いなぁ。


さて、今回はこれに挑戦してみたいと思うのですが、大抵は小学生とかの俳句が大賞をとってるみたいです。
スポンサー的にはそれがいいんでしょう。
ただ、40歳以下一般の部、というものもあるみたいなので、今回はこれにターゲットを絞ってみようと思います。


まずは傾向と対策。
ここに載っている40歳以下一般の部の入賞作品をいくつか見てみましょう。


1.春うらら骸骨ぶらり整骨院


2.幸せになれよと言うなら側にいろ


3.金魚買い離職生活3カ月


4.スカイダイビング夏空がこわれそう


5.波の音踏切の音夏がくる


6.ふきのとうまだそろわない鼓笛隊


7.ただいまと言う子の頭にカマキリが


まず言えるのは、あんまり季語とか厳密でないってことですかね。2なんか季語ないし。
そして、5・7・5でなくてもいいってことでしょうか。4とかどこで切れてるのかわからない。


さて、それで入選するためなのですが、やはり悲哀がにじみ出ているもの、ということになるのでしょうか。
2、3については実に人情を感じさせるものになってます。
また、意外とホラーでも平気なんですね。1は言うまでもなくビッグホラーですし、7にいたっては、その後に子供が巨大カマキリに乗っ取られる前の恐怖を歌ったサイコホラーものです。
後は、季節を感じさせるものでしょうか。時事ネタというのもありですかね。
スカイダイビングはよくわかんないですけど。


ただ、ここまでは俳句の基礎。
入選するために大事なのは、プラスアルファが必要になるのです。
その最後の一手は、皮肉・諧謔です。
社会・個人は問いませんが、思わず笑ってしまうような皮肉が審査員の目を引き、ひいては受賞にいたる道であろう、と私は考えました。
特に2は季語もくそもないくせに、この皮肉メーターがMAXまで振り切れているため、入選したに違いありません。
スカイダイビングはよくわかりませんけど。
それと、暗喩も大事です。
自分の表現したいことをできるだけ包み隠すのが奥ゆかしいのです。


では、以上を踏まえて、早速、一句詠んでみましょうか。


偽メール 責める小倉の ずれるズラ


時事ネタとキャスターのばればれのズラの滑稽さを歌ってみました。
皮肉も利いていますし、韻も踏んでます。



立つ瀬なし 無茶な判定 水の泡


主催国の意を過剰に汲んだ、某球審の現在の心境を歌ってみました。
どうするんでしょう、あの人これから。


飾るのは 決算だけに しといたら


ライブドア社の仲間内での会話を想起させます。
弱い呼びかけに、円熟した夫婦のような味わいがあります。


発射した 僕のミサイル 受け止めて


某国大統領の心情を歌いました。
大統領という重い責務に苦しむ自分の弱さを誰かわかってほしい、というがよく表れています。


さて、ここまで皮肉ネタだけでひっぱりましたが、あまりにも直接過ぎですね。
ちょっと趣向を変えたものも入れなければ、受賞は出来ないでしょう。
受賞するにはやはり暗喩も大事です。
何をほのめかしているのかぎりぎりの線を狙っていきましょう。


きしめんを 細く削れば そうめんだ


この何か言っているようでほんとに何も言ってない感はどうでしょうか。
ついでに今、そうめんが季語になるかも、と気づきました。夏のけだるい暑さが浮かんでくるようです。
しかし、きしめんを細く削ってもそうめんになるかどうか微妙なので、そこを審査員がどう判断するかにかかっているでしょうか。


インド人 カレー食べたら 空を飛ぶ


一見雄大な俳句のようですが、明らかに嘘を言ってます。
飛ぶのはカレー食べたときではありません。
それでいとうせいこうの知識欲に火をつけるのが狙いです。


皿洗う 母の手の平 マキャフリー


最後を誰もわからない言葉でそれっぽくしてみました。
マキャフリーってなんだろう、と思わせることで審査員の目を止めさせることが狙いです。マキャフリーってなんですか。
汚い手段かもしれませんが、こういうコピーは結構あります。
また、「母」という一つの単語で叙情を掻き立て、いとうせいこうの不幸な生い立ちを思い出させましょう。


虫かごの 隅で茶を飲む 父二人


まごうことなき嘘ですが、なんとなくわからないこともないです。



これで賞金はいただきです。