ジャンピングジャックフリック

ある知り合いの若者で大変頭が悪い青年がいる。
その頭の悪さと言えば大したもので、以前に「インテリジェンス」の意味を問われたときに、自信満々で「アンニュイってことですよね?」と答えた輝かしい経歴を持っている。
さて、その24年間で成長したのは性器だけ、というすっとこな彼なのだが、実はバンドをやっているバンドマンである。しかし、音楽的な主張はほとんど何もなく、「モテたいから?」と聞くと控えめに頷くような、そんなバンドだ。そんなライブ俺が行くわけもない。行くんだったら、笑っていいともの収録行く。
で、そのバンドなのだが、実はまだバンド名が決まっていない。もうライブを何回かやってるのに、その度に名前が違う。いい加減なんとかしたい、と彼は常々こぼしていた。何とかしたいんなら何とかすりゃいーじゃん、と俺は言ったのだが、「いや!そこが難しいところでね!メンバー1人無職ですし!」と俺には全く理解できない理由で却下された。バンドなんかやらずに早く職についた方がいいと思うし、早く脳をクリーニングに出したほうがいいと思う。
それで終わりならよかったのだが、「どーすか!?タカクさん考えてくださいよ!」とそのバカが相談してきた。めんどくさくてしょうがなかったが、しょうがないから考えてみた。
で、提案したのが「みずほ銀行」。
「どうよ、みずほ銀行?キャッチコピーは『俺のロックに手数料はいらない』とかで。」と我ながらナイスな命名だと思ったのだが、脳の代わりに野球帽が折りたたんで詰まっているそいつは即座に却下した。
理由を尋ねると「銀行って最近危ないじゃないですか、ペイオフとか。」とブエノスアイレスと五反田くらいの距離で誤解をしていたのだが、説明するのもめんどくさいのでそのままにした。
その他にも「セブンイレブン」(キャッチフレーズは『俺は24時間営業』)が「なんか横文字やだ」という理由で却下、「自民党」(キャッチフレーズは『ロック保守本流』)が「意味がよくわからない」という理由で却下された。
ちなみに「ペイオフの意味知ってる?」って聞いたら「なんか権力なんすよ。」って言ってたので、日本はまだまだ平和だと思う。