ルネッサンス

この前『ルネッサンス』っていう超絶グラフィックのアニメを見たんですけど、まあそれはいいとして、その前に『めがね』っていう映画の宣伝をやっていたんだけど、これがもう癒し満載。
小林聡美演じる都会に疲れた女が沖縄だかどっかの島に来て癒されるっつーストーリーっぽいんだけど、俺はこの手のハートフル再生話がもう大嫌いで、どれくらい嫌いかっていうと紅しょうがくらい嫌い。どうしようもなく嫌い。しかし、まあ許す。俺は胸元にナイフをちらつかせてた中学生の頃とは変わったんだ。今じゃ上司の駄洒落に大笑いした上に銅鑼を鳴らしながらクラッカーを窓に向けて撃ちっぱなすくらい大人。ちょっとやそっとのハートウォーミングくらい全盛期の落合くらい余裕で見逃してやる。だが、これは許せない。何がいやって、とにかくあざとい。まず舞台が島。携帯電話通じねーとか言ってる。おいおい、こいつは何を言ってるんだ?もしコナンが来たら、5人は既に死んでるぜ?「こんな殺人犯がいるところに一緒にいられるか!」と言ってホテルを飛び出すぜ?氷を使ったトリックが炸裂しちゃうぜ?でもこの映画にそんな場面は皆無。
そして、次にもたいまさこ。現地のおばあちゃんを演じているのだが、これがキラー癒しコンテンツ。その日本人そのものの体型と眼鏡から醸し出される癒しの雰囲気。丸まった背中といい、現地訛りといい、悪徳詐欺師のような狡猾さで癒しを強要してくる。「いいから癒されろって言ってんだろ、ゴラァ!」、「いいんだよ、意味なんかわかんなくても、とりあえず癒されろっつってんだろ、内臓売られてぇのかこのやろう!」とまあ、まるで癒しの押し売り、癒しヤクザである。「癒されなければ人にあらず」と言わんばかりの現代版平家メソッド。話の内容はともかくとして、とりあえず「島」と「もたいまさこ」の必殺コンビネーションでごり押ししてきそうな雰囲気が満々である。その強引なまでの二択は、突き押し・引きのみで勝ち進む調子いいときの千代大海か。
さて、予告編のみでここまでの癒し第三セクターっぷりを発揮しているこの「めがね」だが、本編ではさらに畳み掛けるように癒してくるに違いない。当然のように鼻が濡れた子犬が300匹出てくるし、鬼の新兵訓練教官はアロマを炊きながら鞭で殴り、世界を救うために季節のおすすめスイーツが変形してロボットとなって戦い、指輪を放り込む火山口は入浴剤で彩られ、連続殺人犯の正体が井川遥であることが岩盤浴中に判明、異常気象で決壊したダムからはハーブティーがあふれ出す。そして撲殺される和泉元彌。まさに癒し満載、2分に1回はファイナル癒しタイム登場、打ちも打ったり18癒し、ここに完全癒し映画の完成である。
おすすめです。