サモラノ七日間戦争

ここ二日何をやっていたかというと、『ぼくらの』という漫画を読んでいた。


たいへん興味深く読ませてもらったのだが、鬼頭莫宏という作者名がいまだになんと読んでいいのかわからない。「おにがしら」ではないのは、頭に大きな栗の木が生えている俺の脳でもなんとなくわかる。「おにとう」でもなさそうだ。じゃあ、「きとう」か。「きとう」なのか。俺の中で「きとう」と言えば元広島カープの「紀藤」しかありえない。かといって、「紀藤」に何か思い出があるかといえば何もなく、そもそも顔が思い出せない。右投げだったか左投げだったかも思い出せない。そもそもピッチャーだったか、バッターだったか。いや、そんな区分はどうでもいいんだ。昔「ピッチャーは常にバッターである」と言ったのは、天才打者川上哲治だったろうか。多分、川上哲治どころか誰も言ってない気がするが、大事なのはそんなことじゃない。ピッチャーが常にバッターであるという事実があれば、川上哲治だろうがおすぎとピーコだろうが構わない。
昔、「おすぎとピーコのダブルヘッダー」というフレーズを考えたことがあるが、うそ、今考えたのだが、なんとなく得体の知れない匂いのようなものがしてくるような気がする。
ダブルヘッダーだ。おすぎとピーコだ。何をだ。何をダブルヘッダーだ。何をフィルダースチョイスだ。
「3番サードおすぎ」
「4番キャッチャーピーコ」
「5番レフト中井貴一
どことなくキャッチャーピーコがキャッチコピーに見えないことがない。
「ほーらほら、よしこ、よく見てくれよ、お父さんのキャッチコピーを。」
「いや!お父さんのキャッチャーったらピーコなんだから!」
「そうだよ、お父さんがバッターならならお母さんはキャッチャーなんだ。」
「だから毎晩あんなに勢いよくバットを振り回してるのね。」
「このおませさんめ!」


アメリカンジョークが炸裂するたびに、アフリカでは3人の子供がジェンガを崩しているという話を信じてくれるかい?」
「日本じゃ、アメリカンジョークのたびにカイワレ大根の値段が上がるらしいじゃないか。」
「いや、イタリアンハンバーグの話だよ、それは。」
カイワレ大根だよ。」


カイワレ大根のカイワレ部分を説明するのは非常に難しい。漢字で変換すると「貝割れ」となるのだが、カート・コバーンが買ってきたバカ貝が割れているのに絶望し、その時書いた小説が「悦子17歳性の目覚め」だったのは有名な話だが、全然本は売れなかった。
カート・コバーンはなおのこと絶望して、新しい小説「おいしいイタリアンハンバーグの作り方」という前衛小説を書いたのだが、その中で主人公田原総一郎にこういわせている。
「トンネルを抜けるとそこは御徒町だった」
まったく冗談もほどほどにしてほしいものだが、これを機に彼はアフガンへの転戦を決めたのだった(宇宙歴98年)。それが無謀な戦いであることは知っていたのだが、「ああ!コバーン!行かないでコバーン!」という吉田栄作の声を振り切って、場外満塁ホームラン、シーズン最多記録の12本目である。
「カート!今の気分を俳句で詠んでくれないか?」
「うるせえよ そんな気分じゃ マクミラン
『マクミラン』というのは俺の父方の祖父なわけだが、昔『ぼくらの』という漫画を描きたいと言っていたのを思い出した。だから、鬼頭さんはきっとマクミランもしくはマクミルァンと読むのだろう。マクミルァン・莫宏。下の名前はきっと「ロベルチ」だと思う。
マクミルァン・ロベルチの描いた『松田優作物語』。
おすすめです。