負けず嫌い

「いやー、昨日シャンプーと間違えてボディソープで頭洗っちゃってさー。まいったよ、あれ髪がてかてかになるのな。ほんと、まじでばっかだよなー、俺。」
「なーんだ、それくらい。よくやるよ。」
「ええ?そうかぁ?」
「ああ、俺なんか昨日洗顔フォームと間違えて歯磨き粉で顔洗っちゃってさー。まじでまいったよ、あれ、顔うやむやになるのな。ほんと、まじでばっかだよ、俺。」
「なんだよ、たいしたことねえなあ。俺なんかたわしと間違えてロシア人で芋を洗っちゃったよ。毛深いからよくわかんなかった、っつーか、ロシア人酒くせえ。」
「それくらい平気だろ。俺なんか昨日スプーンと間違えて槍でカレー食っちまったよ。まじで、まいったよ、あれ、うちのおふくろ刺しちゃったもん。『あらあ、母さん刺したらマトンカレーになっちゃうわ』ってやかましいわ!!」
「なんだなんだ、その程度。俺なんか昨日洗剤と間違えて、洗濯機に顔入れちゃったよ。まじで、つらいのな、あれ。ぶくぶくぶくーって泡だけは一緒ですから!」
「大したことないなあ、お前。俺なんか昨日、間違えて隣の家で飯食っちゃったよ。あれ、まじで困る。隣の家族が。三杯おかわりした後で気付いたんだけど、そのまま味噌汁飲み干して、デザートには隣のお姉さんをごちそうさま。TVチャンピオン風に完食。」
「俺なんかリモコンと間違えて祖父のスイッチを押してしまって、長年眠っていた祖父だったがその凶悪さは健在、一瞬で父が灰にされ、母は2回妊娠、妹は西の空に向かって飛び立ち、弟はホテルマンとして四苦八苦、そんな僕たちの家庭だけど、姉さん、僕は元気です。」
「コーラと間違えて石油を飲んでしまい、俺は自動車だったことを思い出した。俺は走り出した!西の方角へ!海を目指して!途中でガソリンが切れた!だが、俺は走った!燃料は気合だ!セリヌンティウスが待っているのだ!セリヌンティウス、僕を殴れ!殴られることに快感を覚える年頃なんだ!」
「登校と間違えて革命をした!」
「部活と間違えてボーイミーツガールした!」
「自由からの逃亡と間違えてイカスミパスタに投げキッスで悩殺!」
「相乗効果と間違えてインドシナ半島での精密部品生産の二割をバンコクに空輸、後の弘法大師である!」
「パンダと間違えてボーリングの玉に語りかける60歳キヨシが踏み台昇降症候群!」
「人生を間違えた!」
「まったくだ!!」


授業はじめっぞー。


「おいーす」