急いては事をスナイデル

「あー、だりぃー。」
「だりぃっすね。」
「おまえだるくねーよ。俺のほうがだりぃよ。」
「いや、俺も相当だりぃっすよ。だって昨日とかゲームして徹夜ですもん。」
「んだよ、それくらい。俺なんか昨日ゲームしないで徹夜だぜ?」
「何してたんすか?」
インリン・オブ・ジョイトイの今後について考えてた。」
「それはだるいっすね・・・・だるいというか、暗澹とした気持ちになりますね。」
「だろ?」
「あー、しかし、ほんと暇っすね。」
「そうだな。あー、でも平和っていいじゃないか。」
「ど、どうしたんすか、急に?らしくないじゃないすか、先輩。」
「はっ、俺も落ち着いたってことかな。」
「でも先輩聞いてますよ、昔はすごかったって・・・・。」
「よせよ、昔の話だ。」
「いや、でも、正直言うと、俺、先輩に憧れてここ入ったようなもんすから。」
「馬鹿、てれるじゃねえかよ。」
「まじっすよ。ほんと、先輩、有名だったんですから。」
「いやー、俺も昔は超インターネットだったからよぉ。」
「知ってますよ。」
「ほんと、超インターネットだったなあ。無茶苦茶やってた。アダルトサイト行きまくって法外な額の請求書が送られてきたり・・・・掲示板に知る権利について書きまくって管理人挑発して出禁になったり・・・・2chで自演したこともあったけなぁ、あんときはすぐにばれて総攻撃くらっちまったっけ・・・・」
「先輩・・・・」
「アナログ回線だったんだぜ、俺?しかもcpuは5年前のceleron。よくあんなポンコツで走り回ったもんだ。ウイルスバスターなんてつけたことなかった・・・・命なんて、惜しくなかったんだな。」
「・・・・」
「だが、今となっちゃ、いい思い出だよ・・・・はは、ただの笑い話だな・・・・。」
「もう・・・・やらないんすか・・・・インターネット?」
「ああ、たぶんな・・・・そういう時期は過ぎたんだ。」
「そんな!あの伝説のコテハン『もずく先生』はもう見れないんすかぁ!?」
「おい、お前!なんでそれを!!?」
「あの界隈にいた奴なら全員知ってますよ・・・・憧れだったんですから・・・・。」
「そうか・・・・憧れ・・・・お前、なんて名前だっけ?」
「え、加藤です。」
「ちげえよ!」
「あ・・・・『インド飯屋』です。」
「ふふ、知ってる名前だな・・・・そうか、お前が『インド飯屋』か。」
「・・・・すんません。」
「謝るこたあねえだろ。」
「・・・・すんません。」
「おかしなやろーだ。まあいいや、おい、『インド飯屋』、今日これからあいてるか?」
「え?あいてますけど。」
「じゃあ、ちょっと走りにいくか。」
「・・・・え?まじっすか?」
「ああ。昔の話してたらな、久しぶりに走りたくなっちまった。」
「先輩!いや、『もずく先生』!!」
「お前、マシンなんだ?」
Pentiumの4で、光回線です。」
「ヒュー、いいマシン乗ってるじゃねえか。だがな、マシンは重要じゃねえ。重要なのは、一線を超えられる勇気があるかどうか、つまり魂を持ってるかどうかだ・・・・。」
「さすが、もずく先生・・・・!」
「飛ばすぞ!死ぬ気でついてこい!!」
「はい!!」